継体天皇についての伝承地(3) 鯖江市
福井県鯖江市は継体天皇についての伝承地(1)(2)でご紹介した越前市の北部と隣接した街で、国産の「めがねフレーム」の90パーセントを生産している国際的めがね産地です。
また、この鯖江市の東部には、「河和田」と呼ばれる「越前漆器」の産地があります。
「漆(うるし)」の歴史は非常に古く、縄文時代には接着剤や防腐・防水および装飾などに使用され、福井県若狭町にある縄文時代の遺跡「鳥浜貝塚」では漆を塗ったクシが出土しています。
さて、この「河和田」地域にも継体天皇に関わる伝承が残っています。特に最初に漆工が行われたと言われる片山地区には「継体天皇が皇子の頃、味真野に逗留していた皇子に片山の民が黒漆の食器を献上して非常に喜ばれ、漆工を盛んにするようにと奨励された」という伝承や「皇子がこの地方の大河日野川の治水工事を行っていたときに岩の間に冠が落ちて壊れてしまったので、片山の漆工人に修繕を依頼して、その出来映えに非常に喜んだ」と言う伝承が残っています。
この伝承に因んで、越前漆器の産地では継体天皇即位千五百年の記念として「漆塗りの冠」と「黒塗りの食器」を制作したそうです。
なお、漆器の代表的製品である木地を「ろくろ」で成形する椀型の漆器の製法は9世紀中頃に第55代文徳天皇の第一皇子「惟喬親王」が都を逃れて近江の小椋に住んでいたときに考案されたと言われ「木地師の祖」として各地の漆器産地に祀られているそうです。
さらに、河和田地域の奥にある尾花・沢地区には、継体天皇の妃「広媛(ひろひめ)」の子「茨田媛(まんだひめ)」が住んでいたと言われる「三社森」(現在は茨田媛を祀った式内社刀那神社跡の碑が建っている)があり、、少し離れた山沿いに茨田媛の墓とされる小さな古墳墓が出土しています。
なお、式内社刀那神社は明治時代に尾花地区の手前にある寺中地区の河和田神社に合祀されています。
それぞれの所在地については下記の地図を参照ください。
1 越前漆器伝統産業会館(写真)
2 片山地区 漆器神社(八幡神社内・写真)
3 河和田地区 漆器神社(敷山神社内)
4 茨田姫古墳墓
5 三社森(写真)
6 河和田神社(寺中町)
7 ラポーゼ河和田(農村体験施設)