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2007年2月18日 (日)

継体天皇異伝 真清探當證(ますみたんとうしょう)

第26代継体天皇の出生については、「日本書紀」の中に書かれています。
しかし、「日本書紀」とは異なる出生の伝承が書かれた資料がありました。

それは「真清探當證(ますみたんとうしょう)」と言う資料です。
この資料には「継体天皇」が「雄略天皇」の皇位継承の際に殺された「市辺押磐皇子(いちのへのおしはのみこ)」の子供で後の「第23代顕宗天皇」になった「弘計王(をけのみこと)」の子供として生まれたと書かれています。

この「真清探當證」のあらすじは、「小椋一葉氏」に拠れば次のようなものです。

後の雄略天皇は帝が殺された事をいち早く知り、皇位継承の邪魔になる皇子たちを抹殺しようと計画し実行しました。
そして、この難を逃れたのが「市辺押磐皇子」の子供「億計王(おけのみこと)」と「弘計王(をけのみこと)」の兄弟と「市辺押磐皇子」を頼って逃れてきた「彦主人王(うしのみこと)」でした。
Masumidazinzya11 「市辺押磐皇子」の家臣の計らいで3人は難を逃れて「市辺押磐皇子」妃の兄にあたる葦田(あしだ)氏が神主を務める尾張の「黒田神社(真清田神社のこと)」に身を潜めることになりました。
そして時が流れて「彦主人王」の後を追って来た娘「豊姫」と「弘計王」の間に子供が生まれました。この子供が後の継体天皇になる「男大迹王(をほどのみこと)」です。
Neo21 「男大迹王」は生後45日で災いを避けるために「草平とおなみ」夫婦に預けられ、山奥の「根尾村」で密かに暮らすこととなりました。



月日が過ぎて「雄略天皇」が亡くなり、二人の皇子は「清寧天皇」により都に迎えられ、「清寧天皇」が亡くなった後、弟の「弘計王」が即位して続いて兄の「億計王」が天皇に即位しました。

根尾村で暮らしていた「男大迹王」は「草平とおなみ」夫婦の娘「目子姫」と結ばれ二人の皇子を産みました。
そして父の「弘計王」が亡くなり、「億計王」が即位するときに都に呼び寄せられました。
Neousuzumisakura22 (このとき、別れを惜しんで植えた桜の木が根尾村に伝わる「根尾のうすずみ桜」だと言われています。)



以上の様に「日本書記」に継体天皇の父と母で登場する「彦主人王」と「振姫」は、ここでは父「彦主人王」と娘「豊姫」として登場しています。

Neo22 また、乳母「おなみ」対しても別れを惜しんで桜の木が贈られたそうです。
その桜は「根尾」から「尾並峠」を越えて「塩後」地区(山県市葛原塩後)の「乳児の森公園」に「おなみ桜」として守り伝えられています。


Neo24 なお、「おなみ桜」の近くに小さな祠と三つの岩があり、「乳児神社」と言われ「乳房の神」として祀られているそうです。ご神体の岩を触ると母乳がたくさん出るようになると言い伝えられています。



この「真清探當證」およびその著者についての考察の詳しい内容は「小椋一葉氏」が書いた「継体天皇とうすずみ桜」(河出書房新社)を読んでください。

「小椋一葉氏」に拠ると、この資料は昭和初期頃に愛知県一宮市に住んでいた「土田氏」が書いたものらしいのです。
しかし、この資料の元になった古い伝承や古文書が在ったというのです。
「土田氏」は愛知県一宮市にある尾張一之宮「真清田神社」に関わりのある家柄だったようです。
また、「真清田神社」には「真清探桃集(ますみたんとうしゅう)」と言う古文書が在ったといい、この古文書は江戸時代に神社の神職に拠ってもっと古い資料に基づいて書かれたもののようです。
その他、「真清田神社」の周辺には、「弘計王」と「億計王(おけのみこと)」の二人の兄弟皇子についての伝承が伝わっているそうです。

「真清探當證」に書かれている「継体天皇」が隠れ住んだと言われる「根尾村」(現在は合併して岐阜県本巣市)は越前(福井県)とも「温見峠」で繋がり、継体天皇の父方の祖母の故郷「武儀郡」にも接しているところにあります。
また「真清田神社」も尾張の一之宮として古くから何だかの社があったことや継体天皇の妃、尾張氏出身の「目子姫」との関係などから考えると古くから「継体天皇」或いは「安閑・宣化天皇」に繋がる伝承があったのかも知れません。

所在地については下記の地図をご参照ください。

「真清田神社」
愛知県一宮市真清田1丁目2の1
JR尾張一宮駅・近鉄一宮駅から徒歩10分

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「根尾薄墨桜」
岐阜県本巣市根尾板所
樽見鉄道樽見駅から徒歩10分

「おなみ桜」
岐阜県山県市葛原塩後
根尾薄墨桜より約10キロ

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