松岡古墳群と継体天皇
1500年前に即位した第26代継体天皇が幼青年期を過ごしたと言われる「越の国坂中井」、現在の福井県坂井市周辺には多くの古墳が点在しています。
考古学者によれば、大きく3つの地域に分かれていて九頭竜川右岸にある「六呂瀬山古墳群」(丸岡周辺の古墳も含めて「丸岡古墳群」とも言う)と左岸にある「松岡古墳群」そして竹田川右岸にある「横山古墳群」です。
この地域を支配したであろう「王」の墓「大首長墓」とされる「前方後円墳」を古い順に挙げると
4世紀中頃の「手繰ヶ城古墳」129m(松岡)
4世紀末頃の「六呂瀬山1号古墳」140m(六呂瀬)
5世紀初め頃の「六呂瀬山3号古墳」90m(六呂瀬)
5世紀前半の「鳥越山古墳」54m(松岡)
5世紀中頃の「石船山古墳」79m(松岡)
5世紀末頃の「二本松山古墳」89m(松岡)
6世紀初め頃の「椀貸山古墳」45m(横山)
6世紀中頃の「神奈備山古墳」60m(横山)
となります。
この内で4世紀から5世紀の古墳は、継体天皇の母「振姫」や「振姫」の父「ヲハチノキミ」の祖先或いは一族の墓ではないかと推測されていそうです。 また、6世紀の「椀貸山古墳」や「神奈備山古墳」がある「横山古墳群」は継体天皇の皇子「椀子皇子」或いはこれを祖先とする「三国公や三国真人」一族の墓ではないかと推測されています。
そして、一部の研究者の中には5世紀末頃とされる「二本松山古墳」が「振姫」の墓ではないかと推測する人もいます。
この「二本松山古墳」からは朝鮮半島の影響を受けた「金」と「銀」にメッキされた2つの冠が出土しており、多くの副葬品と共に東京国立博物館に収蔵されているそうです。
さて、これらの古墳のほとんどが山腹や山稜に造られているために、古墳の存在や大きさを実感することは地元の人でも少ないようです。
そこで3つの古墳群の中で一番整備が行われている「松岡古墳群」を見学するコースをご紹介しましょう。
「松岡古墳群」は「九頭竜川」が坂井平野に流れ込む入口の左岸の山稜に点在しています。 所在地は福井県吉田郡永平寺町(旧松岡町・永平寺町)です。
登り口は2箇所あり、一つは「石船山古墳・鳥越山古墳・二本松山古墳」などの登り口で「永平寺町松岡室」にある「松岡公園」です。
「松岡小学校」横の上り坂から始まる公園入口の上り坂途中に「春日山古墳跡」があります。
現在は広場奥に復元石室と出雲の影響を物語る横口式舟形石棺が展示されています。
また、広場には変電所の造成などで破壊された「泰遠寺山古墳」(公園の西1キロの芝原地区)にあった舟形石棺が展示されています。
さらに登って公園上部のある貯水タンクとトイレの横に古墳を回る登山道の案内看板があります。
ここから少し急な階段状の登山道を登ると芝生で整地された「乃木山古墳」に着きます。 林の中に延びる道を登っていくとあまり目立たないが山稜に造られた円墳や方墳の跡がある所に達します。この先に2箇所ある急な上り階段を登ると「三峰山城跡」の西端に至ります。
戦国時代に築かれた山城の堀跡を過ぎてしばらく行くと休憩所があります。ここあたりでコースの中間地点です。
道は一端下って、長い階段状の急坂を登ると小さな石の観音像が置かれている「石船山古墳」に達します。
このあと尾根沿いに多少上り下りしながら「鳥越山古墳」そして最上部の「二本松山古墳」に到着します。
ここまで約1.5キロ・徒歩1時間ぐらいです。
松岡公園・・・5分・・・乃木山古墳・・・(円墳)・・・20分・・・急な登り・・・西三峯山・・・5分・・・東三峯山・・・下り5分・・・急な登り10分・・・石舟山古墳・・・10分・・・鳥越山古墳・・・10分・・・二本松山古墳(標高273.1m)
「二本松山古墳」は全長90mの前方後円墳で古墳全体が伐採されていて、天気が良ければ坂井平野から日本海まで一望することが出来ます。
一方、「手繰ヶ城山古墳(てぐりがじょうやまこふん)」の登り口は「永平寺町志比堺」地区から入る林道沿いにある「第一駐車場」です。 大型車や運転に自信のない方はここに駐車して、この先を左に行く林道を登って行きます。
未舗装の林道を約500m程登ると「第二駐車場」(軽自動車はここまで行ける)に至ります。 ここから右側にある遊歩道入口から約500m、徒歩で約15分で山稜にある古墳に着きます。
古墳は全長129mの前方後円墳で半分が伐採されていて坂井平野を一望することが出来ます。
「松岡古墳群」については「まつおか散策まっぷ」というホームページの中の「古代の宝箱 松岡古墳群」などをご参照ください。
それぞれの古墳までのコースは下記の地図をご参照ください。
「松岡公園」
車の場合
北陸道「福井北インター」から国道416号で旧松岡町内へ
徒歩の場合
えちぜん鉄道「松岡駅」下車徒歩10分
「手繰ヶ城山古墳第一駐車場」
車の場合
北陸道「福井北インター」から国道416号で約3.5キロ
「志比堺」地区の案内看板付近を右折し地区内へ
徒歩の場合
えちぜん鉄道「志比堺駅」下車徒歩5分
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